生誕150年記念出版!
アメリカには、ケージよりも、ガーシュウィンよりも前に、
チャールズ・アイヴズがいた!
異才の生涯と作品を克明に跡づけた決定版評伝!
チャールズ・アイヴズ(1874-1954)の曲から聞こえるのは、
遠くの音、近くの音、野外の音、室内の音、
パレードの音、礼拝の音、川向うからの音、夢のなかの音──。
ヨーロッパのクラシック音楽に、
アメリカの流行歌やプロテスタントの教会音楽を大らかに取り込み、
新しさと郷愁とが混然一体となった”ごった煮”の音楽を作った、
実験的で進歩的な「日曜作曲家」。
長年にわたる無名時代を過ごし、
ようやく作曲家として評価されたのは60代半ばのこと。
79歳で生涯を閉じたときにはアメリカ最大の作曲家のひとりとして
賞賛されるに至っていた。
指揮者レナード・バーンスタインが愛し、来日公演でも披露した
アイヴズ作品とその生涯を知る、日本では類のない評伝が堂々刊行!
《答えのない質問》など主要作品の解説と索引も充実。
ためし読みはこちらから▼
https://hanmoto9.tameshiyo.me/9784865592979
【プレイリストを公開中です】
本書で取り上げた全80曲のプレイリストを、
SpotifyとApple Musicで公開しています。
これは、原書の公式アカウントがSpotifyで公開しているもので、
Apple Musicには同じ音源がないため曲数は63と少なくなっています。
どうぞご活用ください。
プロフィール
J. ピーター・バークホルダー
アメリカ・インディアナ大学ジェイコブズ音楽学部の顕彰名誉教授である本書 の著者、J.ピーター・バークホルダーは、 アメリカ音楽学会とチャールズ・ アイヴズ協会の会長職をかつて務めた人物で、 アイヴズの音楽に10代の頃から親しみ、考察を重ねてきた。 アイヴズに関する書物4冊の執筆と編集に携わり、アイヴズや、 現代音楽、音楽における借用、 音楽の意味についての数多くの論評に健筆をふるってきた。また、 現在アメリカでもっとも広く使われている音楽史の教科書の主筆を 務めた。
いくつかの受賞対象となったその著作は8つの言語に翻訳されている。現在は、 パートナーのダグと3匹の猫と共にインディアナ州ブルーミントン に住んでいる。若き日のアイヴズ同様、 日曜ごとに讃美歌を歌っている。好みの讃美歌は〈ベサニー( 主よ、み許に 近づかん)〉である。
奥田恵二(おくだ・けいじ)
アメリカ音楽研究家・翻訳家。著書に『フルートの歴史』(音楽之友社)、『「アメリカ音楽」の誕生』(河出書房新社)、 共著に『総合研究アメリカ第6巻』(研究社)、『 アメリカ研究入門[第2版]』(東京大学出版会)、『 アメリカの芸術』(弘文堂)など。訳書にアンソニー・ ベインズ著『木管楽器とその歴史』(音楽之友社)、ジョーセフ・ ホロヴィッツ著『国際ピアノコンクール』(早稲田出版)、G. レヴィン&J.ティック著『アーロン・コープランドのアメリカ』 (東信堂)、共訳書にジャスパー・パロット著『アシュケナージ』 (音楽之友社)、グレン・プラスキン著『ホロヴィッツ』( 音楽之友社)など。2000年から2001年にかけて、 フルブライト給費研究員として米国インディアナ大学にて、J. ピーター・バークホルダー教授に師事、チャールズ・ アイヴズを研究する。
CONTENTS
日本語版への序文 J.ピーター・バークホルダー
序文 レナード・スラットキン
感謝の言葉 J.ピーター・バークホルダー
年表
はじめに
第1章 極めて奇妙な経歴―そして声楽リサイタル
アイヴズと彼の音楽
考えられるかぎりの種類の歌曲
《思い出》
いろいろな作風の音楽の併置
《サーカス・バンド》
《散歩》
体験にかかわる音楽
《檻》
新しい作曲法
《ダウン・イースト》
《将軍ウィリアム・ブース天国に入る》
アメリカ人の生活と音楽のさまざまな側面
第2章 アメリカの少年音楽家
ダンベリーと4つの音楽的伝統
アメリカのポピュラー音楽
《休日のクイックステップ》
アメリカのプロテスタント教会音楽
ヨーロッパのクラシック音楽・
《「アメリカ」による変奏曲》
実験的な音楽
ダンベリーを去る
第3章 修業時代
イェール大学での学業と活動
ホレイショ・パーカーに師事
歌曲《野の寂しさ》、そして《わたしは恨まない》
交響曲第1番ニ短調
手本と手法
試演
センター・チャーチ
進歩と変化
第4章 糸を紡ぐ
仕事を探す
貧乏下宿(ポヴァティ・フラット)
多面性を見せ始めた修業者
弦楽四重奏曲第1番
伝統を統合する
実験的教会音楽《詩篇第67番》
実験的な標題音楽《イェール対プリンストンのフットボール試合》
音楽をあきらめる
第5章 探究と発見
生命保険:スキャンダルと成功
ハーモニー
求愛の歌
実験的な室内楽作品
《教会の尖塔群と山々より》
《スケルツォ:まるまる一周逆戻り》
《宵闇のセントラル・パーク》
《答えのない質問》
対照的な音楽の流れを重ね合わせる
個人的な音楽
第6章 アメリカ音楽とヨーロッパ音楽の統合
交響曲第2番
交響曲第2番の新しさ
遅れた初演
反響
伝統の統合
第7章 新しい形式
新生活
交響曲第3番《野外伝道集会》
累積形式とその聴き方
累積形式の意味と根源
ヴァイオリン・ソナタ
ヴァイオリン・ソナタ第4番《伝道集会における子供たちの日》
ヴァイオリン・ソナタ第3番
ヴァイオリン・ソナタ第2番
ヴァイオリン・ソナタ第1番
新しい形式に耳を傾ける人々
第8章 アメリカの祝祭日
交響曲《ニューイングランドの祭日》
《ワシントンの誕生日》
音楽と祭日の記憶とを表現する
《戦没者追悼記念日》
音楽と標題
《独立記念日》
「極めて国民的だ」
《感謝祭と祖先の日》
すべてを統合する
第9章 アメリカの歴史さまざま
オーケストラル・セット第1番《ニューイングランドの3つの場所》
《ボストン・コモンの「セント゠ゴーデンズ」》
《コネティカット州レディングのパトナムの陣営》
《ストックブリッジにおけるフーサトニック川》
オーケストラル・セット第2番
アメリカとアメリカ的体験に関する音楽
第10章 アメリカ文学
ピアノ・ソナタ第2番《マサチューセッツ州コンコード、1840–1860》
『ソナタの前置きとしての随筆集』
ふたつの版
「オルコット」楽章と循環主題
「エマソン」楽章
「ホーソーン」楽章
「ソロー」楽章
《コンコード・ソナタ》の影響力
第11章 超絶への旅路
弦楽四重奏曲第2番
「音楽的啓示」
交響曲第4番
第2楽章「コメディ」
演奏と出版:苦難の上、勝ち得た名声
第12章 歌曲の取りまとめと晩年作
『114の歌曲集』に収められた新旧の作品
歌曲の分類
反響
1923年から1924年にかけての作品
エピローグ
類まれであると同時に伝統的であり アメリカ的でありながら普遍的な存在である
アイヴズはなぜ重要か?
注記
写真
参考書目
特選録音
讃美歌一覧
訳者あとがき 奥田恵二
アイヴズ作品索引
総合索引