音楽の原理

8,000円 [税別]

  • A5判・上製(ビニールカバー装) | 576頁
  • 発売日 : 2016年11月24日
  • ISBN 978-4-86559-152-1 C1073
  • ジャンル : 音楽研究/音楽理論
  • 装丁:中島浩

物理学、心理学、認知科学、文化人類学、音楽学、音楽理論……
あらゆる知の領域を越境し、音楽の淵源にせまる!

本多俊之(サックス奏者、作曲家)

音はなぜ音楽になるのか──。
音楽家なら誰もが抱くこの問いに、答えを出そうとする者が現れようとは!
長年スタジオや音楽の現場で積んだキャリアが、その思想に説得力を与えている。
これは音楽をする者すべてが読むべき書だ。

小鍛冶邦隆(作曲家、東京藝術大学教授)

歴史にも哲学にも芸術にも
「普遍」を観ようとした19世紀以前の教養主義は廃れ、
音楽が個人的な思い込みに囚われるようになって久しい。
ここに新たに「音楽の普遍」に挑んだ冒険の書が登場した。

片山杜秀(音楽評論家、政治思想史研究)

理論と実践、精神と身体の統合──。
“全体性”の魔に取り憑かれた現代の百科全書。

喜多直毅(ヴァイオリン奏者)

著者の演奏や作品に強く惹かれる私だが、
この一冊を通して彼の音楽の源を遡り、哲学に触れ、
よりいっそうその魅力の謎にせまることができた。
そして同じ演奏家としていくつもの発見や気づきを与えられた。
音楽にあふれた日々を送っていても、
いつしかその本質を見失いがちな私にとって、
折に触れて立ち返りたいのが本書である。
音楽という事象や様相の論理的解明はもとより、
演奏と作曲にかんする具体的な示唆やアイディアに富むこの一冊を、
多くの音楽家に強く推薦したい。

全音楽人必読!
音楽の謎がいま解明される。

プロフィール

  • 近藤秀秋(こんどう・ひであき)
    作曲、ギター/琵琶演奏。特にジャズ・クラシック・即興音楽方面での越境的なコンテンポラリー作品を中心に手掛ける。他に音楽プロデューサー/ディレクター、録音エンジニア、執筆活動など。1971年東京生まれ、獨協大学卒。
    アーティストとしては、自己名義作『アジール』(web magazine「JazzTokyo」の2015年この1枚・国内編11選に選定)のほか、リーダープロジェクトExperimental Improvisers’ Association of Japan『avant-garde』(英WIRE誌・即興部門年間ベスト15選定)など。作曲家としては、自己名義作品やリーダープロジェクトにおける作曲のほか、イベントやポピュラー音楽への楽曲提供など。演奏家としては、国内外の音楽祭への出演(リトアニアVilnius Jazz Festival、ロシアArkhangelsk Jazz Days、横浜インプロムジカフェスティバル他)、音楽グループへの参加(豊住芳三郎UNIT他)、海外の音楽家の日本公演のサポートメンバー(Tristan Honsinger、Frank Gratokowski、Michel Doneda他)など。録音エンジニアとしては、第8回日本プロ音楽録音賞受賞をはじめ、アコースティック作品を中心に録音。音楽プロデューサー/ディレクターとしては、クラシック、ジャズ、タンゴ、即興音楽など、芸術音楽を中心に制作。執筆活動は『G-Modern』『クラシックジャーナル』『ラティーナ』『アルテス(電子版)』など音楽誌への原稿提供など。

CONTENTS

序章 展望

第Ⅰ部 原理

第1章 身体性
 ◉本章の内容
 1.1 身体性の属する二つの世界
 1.2 外部世界
 1.2.1 真理定立の原理
 1.2.2 現代物理の上での世界像
 1.2.3 力、質量、エネルギー
 1.2.4 熱力学
 1.2.5 電磁気学
 1.2.6 特殊相対性理論
 1.2.7 一般相対性理論
 1.2.8 量子力学
 1.2.9 場の量子論
 1.2.10 世界を組織する四つの力
 1.2.11 大統一理論、超対称性理論、ひも理論
 1.2.12 形式論理的世界
 1.2.13 宇宙創生
 1.2.14 現象の立ち上がり
 1.3 内部世界
 1.3.1 生物の誕生
 1.3.2 自己組織化
 1.3.3 生物
 1.3.4 細胞、組織、器官
 1.3.5 散逸構造:身体と環世界のかかわり方の様式
 1.3.6 身体の指向性
 1.3.7 身体のもたらすパースペクティブ
 1.3.8 内観、外観、意味
 1.3.9 記号の接地
 1.3.10 身体性と音楽

第2章 内観
 ◉本章の内容
 2.1 内観と外観
 2.2 音
 2.3 人体
 2.3.1 組織、器官
 2.3.2 耳
 2.3.3 神経組織
 2.3.4 神経系
 2.3.5 脳
 2.4 内観
 2.4.1 人間の情報処理モデル
 2.4.2 感覚
 2.4.3 内観
 2.4.4 情動
 2.5 音楽における内観の意味
 2.5.1 リアリティ
 2.5.2 印象、気分
 2.5.3 価値の伝達
 2.5.4 音楽に対する追跡の達成
 2.5.5 内観の意味的受け取り
 2.5.6 リアリティ再考

第3章 外観
 ◉本章の内容
 3.1 外観とは
 3.1.1 音響現象と人間の認知システム
 3.1.2 指示的意味と具現的意味
 3.1.3 認知における外観
 3.2 パターン認識、外観の感覚的把握
 3.2.1 ウェーバーの法則
 3.2.2 分節と統合
 3.2.3 プレグナンツの法則
 3.3 外観の知覚
 3.3.1 図と地
 3.3.2 記号体制化
 3.4 音響における外観
 3.4.1 音の分節化を生む弁別閾
 3.4.2 音の構造化
 3.4.3 要素の三つの様相:点、群、域
 3.4.4 関係化の形式
 3.4.5 構造
 3.4.6 様式
 3.5 音楽全体から見た外観の機能と役割

第4章 体制化
 ◉本章の内容
 4.1 認知
 4.1.1 基本モデル
 4.1.2 記憶
 4.1.3 表象
 4.1.4 スキーマ
 4.1.5 思考
 4.1.6 意識
 4.1.7 認知システム
 4.2 記号
 4.2.1 写像
 4.2.2 構造
 4.2.3 記号論
 4.2.4 数/数学
 4.2.5 図/視覚表象
 4.2.6 言語/聴覚表象
 4.2.7 意味符号化としての言語
 4.2.8 間主観性
 4.2.9 シンボル
 4.3 体制化
 4.4 体制のうちの外観
 4.5 体制のうちの内観
 4.6 意味体制化
 4.6.1 意味の定立
 4.6.2 フレーム、パースペクティブ、概念、思考
 4.6.3 音楽の意味体制化の典型的な様式
 4.7 体制化の全体構造

第Ⅱ部 コンテクスト

第5章 経験世界・社会・文化
 ◉ 本章の内容
 5.1 経験世界
 5.1.1 経験世界の形成要因:自己、自然環境、社会環境
 5.1.2 経験世界の構図:世界、自己および人間、実在
 5.2 文化
 5.2.1 文化とは何か
 5.2.2 文化を生み出す要因
 5.3 文化の型
 5.3.1 人種差
 5.3.2 宗教差
 5.3.3 宗教以前
 5.3.4 宗教の要素と類型
 5.3.5 世界の宗教地図
 5.4 ゾロアスター教
 5.5 ヒンズー教
 5.6 仏教
 5.7 中国の思想:儒教
 5.8 中国の思想:道教
 5.9 ユダヤ教
 5.10 キリスト教
 5.11 イスラム教
 5.12 西洋哲学
 5.12.1 形而上学としてのギリシャ哲学
 5.12.2 デカルト、カント、ヘーゲル:西洋における形而上学の影響
 5.12.3 形而上的世界観の超克
 5.13 自然科学
 5.14 資本主義・新自由主義
 5.15 コンテクストと意味

第6章 文化型と音楽
 ◉本章の内容
 6.1 音楽の意味指向性
 6.2 ヨーロッパ文化圏
 6.2.1 イタリア
 6.2.2 スペイン、ポルトガル、バスク
 6.2.3 フランス
 6.2.4 アルプス地帯
 6.2.5 ドイツ、オーストリア
 6.2.6 イギリス、アイルランド
 6.2.7 デンマーク、スウェーデン、ノルウェー
 6.2.8 フィンランド、エストニア、ラトヴィア
 6.2.9 ロシア、ウクライナ、ベラルーシ
 6.2.10 カフカス地方
 6.2.11 ポーランド、リトアニア
 6.2.12 ブルガリア
 6.2.13 ハンガリー
 6.2.14 ルーマニア
 6.2.15 旧ユーゴスラヴィア
 6.2.16 ギリシャ、アルバニア
 6.3 イスラム文化圏
 6.3.1 イラン
 6.3.2 イラク、その他のアラブ諸国
 6.3.3 トルコ
 6.3.4 中央アジア
 6.3.5 クルド
 6.3.6 イスラエル
 6.4 南アジア・東南アジア
 6.4.1 インド
 6.4.2 バングラデシュ
 6.4.3 ネパール
 6.4.4 チベット文化圏
 6.4.5 スリランカ
 6.4.6 タイ、カンボジア、ビルマ
 6.4.7 ベトナム
 6.4.8 インドネシア、東ティモール
 6.5 東アジア
 6.5.1 中国、モンゴル
 6.5.2 朝鮮
 6.5.3 日本
 6.5.4 ロシア(シベリア、サハ)
 6.6 アフリカ
 6.6.1 西アフリカ、ニジェール川世界
 6.6.2 東アフリカ、ナイル川世界
 6.6.3 東アフリカ湾岸都市、スワヒリ世界
 6.6.4 中部アフリカ、ザイール川世界
 6.6.5 アンゴラ
 6.6.6 南部アフリカ、ザンベジ川・リンポポ川世界
 6.6.7 南アフリカ
 6.7 中南米(ラテン・アメリカ)
 6.7.1 メキシコ
 6.7.2 コロンビア、ベネズエラ
 6.7.3 キューバ
 6.7.4 ハイチ
 6.7.5 ジャマイカ
 6.7.6 トリニダード・トバゴ
 6.7.7 ペルー、ボリビア
 6.7.8 アルゼンチン
 6.7.9 ブラジル
 6.8 北アメリカ(アングロ=アメリカ)
 6.9 オセアニア
 6.10 コンテクストから意味へ

第Ⅲ部 実践

第7章 実践の視界
 ◉本章の内容
 7.1 音楽の企投される場
 7.1.1 音楽は、人が生み出した音響によるものでなければならないのか
 7.1.2 四つの企投先、三つの消費場
 7.1.3 音楽の機能に着目した音楽活用
 7.1.4 生産者自身という消費場
 7.1.5 他者という消費場
 7.1.6 間主観構造
 7.2 方位の確定
 7.2.1 企投意図
 7.2.2 外観の形成
 7.2.3 内観の喚起
 7.2.4 再び、意味

第8章 作曲
 ◉本章の内容
 8.1 作曲以前
 8.2 バランス
 8.3 二つの作曲:システムの創出か、システムからの創出か
 8.4 既存の作曲技法
 8.4.1 西洋音楽:機能和声法
 8.4.2 西洋音楽:対位法
 8.4.3 ジャズ
 8.4.4 スペイン・フラメンコ
 8.4.5 イラン芸術音楽
 8.4.6 インド古典音楽
 8.4.7 日本音楽
 8.4.8 インドネシアの音楽
 8.5 作曲技法の創出
 8.5.1 構造の階層
 8.5.2 論理、実験、偶然
 8.5.3 音響素材の確定
 8.5.4 関係構造化の創出1:分節の形式
 8.5.5 関係構造化の創出2:関係構造化
 8.5.6 要素のまとまり
 8.5.7 基本システムの創出
 8.5.8 規則の設定

第9章 演奏
 ◉本章の内容
 9.1 演奏の志向するものの同定
 9.2 音響の制御
 9.2.1 身体と発音源の相互作用:発音源
 9.2.2 身体
 9.2.3 呼吸
 9.2.4 呼吸のコントロール
 9.3 運動の習得
 9.3.1 骨格系
 9.3.2 筋肉系
 9.3.3 運動における身体の各部位の連合
 9.3.4 筋骨格系から見た運動の連合
 9.3.5 中枢神経系と運動の構造
 9.3.6 運動指令システムの定着
 9.3.7 運動習得のメソッド
 9.4 演奏の習得
 9.4.1 ソルフェージュ
 9.4.2 アドリブ・システム
 9.4.3 楽器演奏法
 9.4.4 表現、バランス、構成力

第10章 実践
 ◉ 本章の内容
 10.1 コンディショニング
 10.1.1 身体の活性時間帯と睡眠の調節
 10.1.2 食事
 10.1.3 呼吸
 10.1.4 覚醒水準
 10.1.5 ウォーム・アップとクール・ダウン
 10.2 実践
 10.2.1 意識コントロール
 10.2.2 覚醒水準の維持
 10.2.3 集中
 10.2.4 ミス、トラブルに対して

終章 志向性に向けて

参考文献