大久保賢さんが『新しい和声』を紹介してくれました

音楽評論家の大久保賢さんが林達也さんの『新しい和声』について、ご自身のブログで紹介してくださいました。

Le plaisir de la musique 音楽の歓び|待望の和声教科書

本書の刊行の意義を下記のように高く評価してくださっています。

 『新しい和声』は、その「島岡和声」への代案として提示されたものである。もっとも、代案とはいっても、そこで行われているのは、むしろ旧来の方式への回帰である。すなわち、独自の記号を廃して昔の数字付き低音による表記へと戻し、「パターン化」によって可能性を閉じてしまうのではなく、「カタログ化」によって実際の音楽作品との繋がりを回復し、さらには実際に弾いて身体(手と耳)に染み込ませる練習を重視した、ということだ。

 また、「島岡和声」ならば「禁則」に触れるとして厳しく戒められていた事柄も、この『新しい和声』では咎められていない。それは、前者がある一時代の和声をモデルとしてそこから規則を導き出した上ですべてを組み立てていたのに対して、後者が「歴史の中での変化」を視野に入れているからだ。そして、実際の音楽作品との結びつきを考えれば、後者の流儀の方が有用なのは言うまでもない[略]。

そのうえで、いくつかの問題点もご指摘くださっています。こうした出版物は刊行してから読者・学習者とともに作りあげていくという側面がありますので、大久保さんのご提言はぜひ今後の改訂に活かしていきたいと思います。

[木村]