8/22|指揮者はガテン系がいい

2010年のショパン・イヤーに向けて、小坂裕子さんにお知恵を拝借。方向性の違った面白いアイディアをいくつもいただいた。「専門家の話を聞く」ということは、編集者にとってとっても楽しく、ありがたく、そしてたぶんもっとも重要な仕事なのだ、と再認識。
高田馬場で昼食を兼ねて作戦会議。考えるべきことが多すぎて、隊長とふたりで途方にくれる。でも、会議の前に買った本についてだべってたりして、なんかこう、まったりしてしまうのであった。うちら、いつもそうです(苦笑)。
吉祥寺でデザイナーの久保和正さんと、リュック・フェラーリの映画を2本。1960年代のセシル・テイラーとオリヴィエ・メシアンのリハーサルを収めた貴重な映像。セシル・テイラーの矛盾にみちた語りと、エネルギッシュな演奏。首尾一貫しないことを首尾一貫しておこなうことのすごさ。かたや、テイラーが「音楽の行為を分割する」ものとして否定した「楽譜」を終始手にしながら、音響の建築現場を冷徹なまなざしで監督するひと――メシアン。
去年観たフェラーリの『ヴァレーズ礼賛』ではブルーノ・マデルナ、このメシアンではセルジュ・ボドが、「解釈をする人」ではなく、楽譜に書かれてあることをきちんと演奏する「ガテン系」職人指揮者として登場。フランスの現代音楽の指揮者って、こういうひとが多いんだろうか。[木村]