多様な領域に広がるジャズ研究──アメリカと日本の最新の成果から、代表的な論考と最新論文を集めた画期的なアンソロジー登場!
◎A5判・並製・432ページ
◎定価:本体3200円+税
◎発売:2010年7月24日
◎ISBN:978-4-903951-30-0 C1073
◎装丁:中島浩
●内容
90年代以降、多様な領域に広がるジャズ研究──アメリカと日本の最新の成果から、その代表的な論考と最新論文を集めた画期的なアンソロジー登場!
〈聴く〉〈見る〉〈読む〉〈書く〉〈演る〉の5部に分けて、メディア論、ジャズとパンク、村上春樹、楽器の表象、中国ジャズ、歴史叙述、即興、マイルス、フリー・ジャズ、音響など、多彩なテーマを論じた15本(書き下ろしを含む)を収録。
執筆者は編者3人に加えてジェッド・ラスーラ、上田泰、マシュー・スメラ、椿清文、クリン・ギャバード、アンドリュー・F・ジョーンズ、スコット・デヴォー、デイヴィッド・エイク、E. テイラー・アトキンズ、イングリッド・モンスン、ロバート・ウォルサー、マイク・ヘフリー、デイヴィッド・ノヴァック。
●目次
マイク・モラスキー「イントロダクション──ジャズ評論を超えて」
I〈聴く〉聴取、メディア、受容
ジェッド・ラスーラ「記憶のメディア──ジャズ史におけるレコードの誘惑と脅威」
上田泰「フォノグラフ効果とジャズ──マーク・カッツの議論を中心に」
マシュー・スメラ「黒い激情、白いノイズ:ジャズとパンクの関係」
II〈見る〉視覚表象とジャズ
椿 清文「ラプソディ・イン・ブラックフェイス──ジャズとミンストレル・ショー」
クリン・ギャバード「ファルス(男根)をシグニファインする──『モ・ベター・ブルース』とジャズ・トランペットの表象」
III〈読む〉文学の中のジャズ
細川周平「ルビで踊って──ベン・ヘクトの翻訳と谷譲次の遊戯的書記法」
宮脇俊文「スイングがなければ小説はない──村上春樹とジャズのクールな関係」
アンドリュー・F・ジョーンズ「黒い国際労働者連盟──中国のジャズ・エイジに関する小論」
IV〈書く〉ジャズの歴史叙述
スコット・デヴォー「ジャズの伝統を構築する」
デイヴィッド・エイク「ジャズの歴史叙述とルイ・ジョーダンの問題」
E. テイラー・アトキンズ「『お国のためのジャズ』:戦時日本の新文化体制に向けて」
V〈演る〉即興と音響
イングリッド・モンスン「音楽、言語、文化スタイル:会話としての即興」
ロバート・ウォルサー「『音を外す』:意味、解釈、マイルス・デイヴィスの諸問題
マイク・ヘフリー「アメリカの向こうの自由世界」
デイヴィッド・ノヴァック「音、無音、即興のグローバルな価値」
あとがきに代えて 宮脇俊文
●編著者プロフィール
宮脇俊文(みやわき・としふみ)
1953年生まれ。成蹊大学教授(アメリカ文学、比較文学)。著書に『村上春樹ワンダーランド』(いそっぷ社、2006年)、『アメリカの嘆き──米文学史の中のピューリタニズム』(松柏社、1999年)〈共編著〉、F. Scott Fitzgerald in the 21st Century: Centennial Essays (U of Alabama P, 2003) 〈共著〉、論文に「白人のジャズ・エイジと黒人のジャズ・エイジ──The Great Gatsbyの20年代」(『ヘミングウェイ研究』、2002年5月)など。日本スコット・フィッツジェラルド協会会長。
細川周平(ほそかわ・しゅうへい)
1955年大阪生まれ。国際日本文化研究センター教授。著書に『遠きにありてつくるもの──日系ブラジル人の思い・ことば・芸能』(みすず書房、2008)、共著に『ブラスバンドの社会史—軍楽隊から歌伴へ』(青弓社、2001)、共編著に『日本の作曲家—近現代音楽人名事典』(日外アソシエーツ、2008)などがある。
マイク・モラスキー(Michael S. Molasky)
1956年セント・ルイス生まれ。シカゴ大学大学院東アジア言語文明学部博士課程修了(日本文学で博士号)。ミネソタ大学教授を経て、一橋大学大学院社会学研究科教授。音楽関連の著書に『戦後日本のジャズ文化──映画・文学・アングラ』(青土社、2005年、サントリー学芸賞受賞)、『ジャズ喫茶論──戦後の日本文化を歩く』(筑摩書房、2010)がある。また、ジャズ・ピアニストとして東京などのライヴ・ハウスに出演。2010年7月、初のソロ・ピアノCD『Dr. U-Turn』を発表した(STUDIO SONGS / BAJ Records YZSO-10010)。http://molasky.nsf.jp/