谷川俊太郎さんの逝去を悼んで

詩人の谷川俊太郎さんが11月13日(水)、老衰のため逝去されました。92歳でした。

詩人の谷川俊太郎さん死去 92歳 「生きる」「二十億光年の孤独」|朝日新聞デジタル

アルテスでは2016年にネーモー・コンチェルタートのCDブック『おとなのための俊太郎 谷川俊太郎詩集』を刊行しました。『鉄腕アトム』の主題歌、『スイミー』やスヌーピーシリーズの翻訳など、こどものための作品も数多い谷川さんですが、この作品は「うんこ」「ポルノ・バッハ」「なんでもおまんこ」などなど「谷川俊太郎のダークサイド」ともいえそうな作品をあつめて、辻康介さんひきいるネーモー・コンチェルタートが曲をつけたもの。谷川さんからも

なんでも歌になっちゃうんですね。
私の顏までレチタティーヴォしているようでびっくり。

と推薦の辞をいただいたのでした。

うんこ(谷川俊太郎 詩/辻康介 曲)

その後、2020年にはギタリスト荘村清志さんのデビュー50周年を記念して刊行した『荘村清志 弾いて飲んで酔いしれて』(荘村清志 著/吉田純子 編著)に、「魂のけものみち」と題する詩を寄せてくださいました。その結びの一節をご紹介します:

一音が一音を呼び
一音が一音に寄り添って
その響きがつかのま時空を満たすとき
私たちは知る 君のイノセンスを
喝采と批評の渦の中で

朝日新聞で連載していた「どこからか言葉が」の最後の回(11月17日掲載)には「感謝」という詩が掲載されました。最後を「感謝」で締めくくる、なんというみごとな生涯でしょう。

感謝|どこからか言葉が|朝日新聞デジタル

わたしたちも心からの感謝を念じつつ、谷川さんを偲びたいと思います。