2024年10月12日付の『図書新聞』(3658号)にて、映画評論家の上野昂志さんが大森さわこ著『ミニシアター再訪〈リヴィジテッド〉──都市と映画の物語 1980-2023』を書評してくださいました。同紙最終面に、この号に掲載された書評のなかでもっとも大きなスペースを使って掲載していただいています。
ページを繰るごとに、さまざまな想いが渦巻く。そうか、あの映画は、あそこの映画館で観たんだなとか、あの時は、誰に誘われて観に行ったんだっけ、とか、忘れていたことが、書かれた文字を通し、記憶の底から蘇ってくる。
と書きおこし、ご自分の体験もからめて、本書の内容を紹介するとともに、2000年代に入ってから、とくにシネコン登場いらいの映画と映画館、そして観客との関係に思いをめぐらせ、
[…]当時を知らない若い人たちにこそ、大森さんのこの労作を読んでもらいたいと思うのだ。そこから、映画館と観客の生き生きとした関係に触れ、現在の自身の立ち位置を見直すためにも。
本書を通読し、改めて思うのは、映画館と、そこが上映する映画と観客の関係、及び、それらの時代的な変遷を描いている点で、通常の映画史にはなかった、ほとんど類のない一冊だということだ。著者の労を多とする。
と結んでくださっています。たんなる歴史ではなく、映画の未来へとひらかれたものに──という著者の思いをしっかりと評価していただけて、とてもうれしく思いました。