『週刊読書人』に『ミニシアター再訪』の書評掲載

週刊読書人』2024年8月16日号(第3552号)に大森さわこ著『ミニシアター再訪〈リヴィジテッド〉──都市と映画の物語 1980-2023』の書評が掲載されました。評者は『名画座かんぺ』発行人で『名画座手帳』の企画監修をされている「のむみち」さん。

「ミニシアターブームに思いを馳せる再訪の旅──作品・メディア・観客の蜜月時代から、現在の厳しい状況まで」と題し、内容をていねいに紹介しながら、熱い共感をもって評してくださっています。

 シネコンが台頭し、ネットや配信で気軽に映画が観られるような時代に入って久しいが、本書を読むと、当時のミニシアターは、そんな今とは上映体系がまるで異なっていたことに気づかされる。当時は、ひとつの劇場が、それぞれ決め打ちの作品を単館で、売り上げが伸びなくなるまで(あるいは他にかけなければならない作品が来るまで)上映できた。それによって、各劇場に独自のカラーができ、また、ロングランヒットという状況が作品の評価にも繋がった。

「[本書に登場する]関係者の何人かが口にする「今の人は悪い意味で同じ方向を向いている」「みんながいいと言うから観る」という言葉が、現代人の文化的衰退を表していて、重い」と記しつつも、「絶望しかない訳ではない」と、昨今の新しいミニシアター誕生の動き、シネコンでのミニシアター的作品の上映などにも触れ、

当時の熱いミニシアターブームに思いを馳せ、そしてこれからのミニシアター・名画座の在り方を考えつつ、これからも自分の活動とともに映画館に足を運び続けるのみである。

と、力強く結んでおられます。