一つ一つの出来事が濃密で心に響く──『サウンド&レコーディング・マガジン』に『求むマエストロ。瓦礫の国の少女より』の書評掲載

『サウンド&レコーディング・マガジン』11月号にポール・マカランダン著/藤井留美訳『求むマエストロ。瓦礫(がれき)の国の少女より──イラク・ナショナル・ユース・オーケストラの冒険』の書評が掲載されました。評者はおなじみ横川理彦さん。

クルド人やアラブ人メンバーとの軋轢や和解、ワークショップで一緒に練習するドイツ、イギリス、フランスの若い音楽家たちとの交流。始原〔楽器や練習の指導)が決定的に不足しているにもかかわらず、ポジティブに音楽を奏でようとする意思など、一つ一つの出来事が濃密で心に響く。また、ポール・マカランダン自身がゲイであることも、人物観察に独特の色合いを加えている。
 オーケストラの成り立ちから、ウェスト゠イースタン・ディヴァン管弦楽団やボリビアのエル・システマと比較されるが、NYOI[イラク・ナショナル・ユース・オーケストラ]はあらゆる面でぜい弱な基盤を、かかわった人たちの熱意と共感で走り抜けた。24章で紹介される、団員たちのその後は、音楽の力をよく示している。

このように深い共感をもって高く評価してくださいました。いっけんヘヴィなテーマを描いたノンフィクションですが、読みはじめたら止まらなくなる冒険物語でもあります。ぜひ手に取ってみてください!