大盛況! ショパン・ピアノ全作品演奏会第2回

2010年のショパン・イヤーに向けて好発進した「ショパン・ピアノ全作品連続演奏会」。4/4(土)、第2回がおこなわれました。第2回は「パリで活躍する若きショパン(22才〜23才)」と題し、《3つのノクターン》作品9、《華麗なる変奏曲》作品12、《3つのノクターン》作品15、《12の練習曲》作品10の4作品を、中井恒仁(のぶひと)さんのピアノと小坂裕子さんの解説で楽しみました。
「超」有名曲といっていい作品9のノクターン、そして《別れの曲》や《黒鍵》《革命》などを含む作品10のエチュード集が演奏されるということもあってか、全席完売の大盛況でしたが、ふだんは単独で聴くことの多いそれらの有名曲も、ひと組の作品という文脈のなかで、加えて、小坂さんの解説により、1832〜33年という時代、パリという土地、リストをはじめとする被献呈者などの背景を知ったうえで聴くことにより、まったく違う相貌を見せてくれます。とくに、エチュードの最後に配された《革命のエチュード》は、ポーランドの革命に寄せるショパンの激烈な思いが、右手の付点付きの和音、左手の16分音符のフレーズのための練習曲という形式のなかに、軋みをひびかせながら収まっていて、そのことがかえって尋常ならざる印象をあたえます。
中井さんの透徹した解釈と力強い演奏、そして、この連続演奏会の影の主役ともいうべき1887年製のスタインウェイの音色(香りたつ高音のピアニッシモ、低音のパッセージの粒だちの素晴らしいこと!)があいまって、ショパンの音楽の理解に深みをあたえていたことはいうまでもありません。
次回は4/29(水・祝)14:00よりタカギクラヴィア松濤サロンにて開催。ピアニスト:武田美和子さん、解説:小坂裕子さんで「ショパン 友情と再会(21才〜25才)と題して、《4つのマズルカ》作品17、《華麗なる大円舞曲》作品18、《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ》作品22、《バラード第1番》作品23などを楽しみます。
なお、小坂裕子さんの解説は、アルテスのウェブサイトでも連載中です。
タカギクラヴィア
http://takagiklavier.com/
小坂裕子「ショパン 作品でたどる、その生涯」
http://www.artespublishing.com/serial/kosaka/index.html

[木村]