『みすず』1/2月号は恒例の「読者アンケート特集」。今年はアルテスの本が2冊とりあげられました。
まずは音楽学者の増田聡さん。大和田俊之さんと長谷川町蔵さんの『文化系のためのヒップホップ入門』をとりあげてくださっています。
(略)音楽ならざる音楽としてのヒップホップの理解への道筋を絶妙かつ適切に指し示す。「ロックは若者の音楽」という思い込みから未だ自由になれぬ評者にはとりわけ有益であった。このご時世に密度の濃い音楽誌『アルテス』を新たに立ち上げる版元共々、日本語圏の音楽言説空間を更新せんとする勢いに拍手。
もうひとかたは映像文化論の長谷正人さん。
岡田暁生・吉岡洋・三輪眞弘「3・11 芸術の運命」『アルテス』Vol.1、アルテスパブリッシング
原発事故のショックの後、そのショックに対抗するかのように自らの正義性を声高に主張する言論が目立った中で、このシンポジウムの参加者たちの落ち着いた自省的思考には共鳴するところが多かった。私たちの文化それ自体が「オール電化」されているという事実を性急に批判するのではなく、その事実に困惑するところから語り出すこと。私たちはエレキギターやコンピューターによる音楽の電気化を愛してきたのではなかったか。
それ以外の方々の文章も教えられるところが多く、読みふけってしまいます。
[木村]