デオダ・ド・セヴラック(1872-1921)といえば、ドビュッシーやラヴェルと同時代を生き、「地方主義」を標榜して故郷の南フランスで、「土の香り」(ドビュッシー)のするピアノ曲や歌曲などをつくったフランス近代の作曲家。舘野泉さんほかの活動でピアノ曲については日本でもずいぶん聴くことができるようになりましたし、フランスの哲学者V. ジャンケレヴィッチの著作(近藤秀樹訳『遙かなる現前』春秋社)でも、アルベニスやモンポウとともに親しく論じられていて、フランス音楽愛好家にとっては、「気になる作曲家」の筆頭にあげられるひとりではないでしょうか?
そのセヴラックの歌曲に焦点をあてたレクチャー・コンサートが、このたび同志社女子大学で開催されます。同大学教授(音楽美学、音楽哲学)の椎名亮輔さんによるお話と、ソプラノ歌手の奈良ゆみさんによる演奏(ピアノは椎名さん)という二部構成。西洋音楽の時間論を道元、西田、廣松といった日本思想から逆照射した快著『音楽的時間の変容』(現代思潮新社)の著者と、松平頼則ほか現代音楽作曲家にとってのミューズとして知られる歌手による、充実した内容になることまちがいなしの催しです。
詳細は以下のとおりです。
2009年度 同志社女子大学学芸学部音楽学科 公開講座
奈良 ゆみ
デオダ・ド・セヴラックの歌曲
レクチャーコンサート
第1部 レクチャー
「セヴラックの歌曲について:芸術とフォークロア」
お話:椎名亮輔(同志社女子大学教授)
第2部 コンサート
セヴラック作曲の歌曲および編曲
《空は、屋根の向こうで……》《雪模様》《私のかわいいお人形》ほか
ソプラノ:奈良ゆみ
ピアノ:椎名亮輔
《プロフィール》
奈良ゆみ (ソプラノ)
幼い頃より、グレゴリア聖歌、詩吟、タンゴに親しむ。相愛大学声楽科在学中にフランス音楽に魅かれ、卒業後、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に入学、メシアンに注目される。以後、パリを拠点としてヨーロッパ各地で盛んな演奏活動を展開。色彩感にあふれた声と創造的な表現力は、とりわけ現代音楽の分野で注目を集め、多くの現代作曲家が彼女に曲を捧げている。メシアンの『ハラウィ』をはじめとして、シェーンベルク『月に憑かれたピエロ』、モーリス・オハナのモノオペラ『三つの御花(オハナ)の物語)、さらに、ジャン・クロード・エロワの作品『リベラシオン』や、松平頼則のモノオペラ『源氏物語』の歌い手として、日本の音楽・文化が西洋の現代音楽と結びつく可能性を明示した。
〈日 時〉 2009年 6月10日 (水) 15:30〜
〈場 所〉頌啓館ホール(京田辺キャンパス)
近鉄興戸駅下車、徒歩約10分、JR同志社前駅下車、徒歩3分
入場無料
※駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用下さい。
主催・お問い合わせ/同志社女子大学音楽学科事務室 (0774-65-8501)
[木村]