川崎弘二、松井茂(編)『日本の電子音楽 続 インタビュー編』(engine books)
『アルテス』で「武満徹の電子音楽」を連載する川崎弘二さんの編著になる『日本の電子音楽』(愛育社、2006/増補改訂版:2009)は、日本の現代音楽に「電子音楽」という一ジャンルが確として存在することを、その豊饒な歴史とともに知らしめた労作でしたが、その続編となるインタビュー集が刊行されました。今回は詩人でメディアアート研究者の松井茂さんとの共著。
多くの作曲家が、放送のための作品や、映画、劇伴音楽を生業としながら、これを作品外に位置づけてきた。電子音楽は、いわゆる純粋音楽作品に対して、副次的なサウンド・デザインとして受容されがちであった。しかし、現実のアートシーンへのインパクトや影響力は逆転している。マス・メディアとしての放送局、マス・プロダクションによる国産の民生機のテクノロジーが、現代音楽に想像力を提供してきたのだ。(松井茂/本書所収「電子音楽の想像力」より)
今回、インタビューの対象となったのは、谷川俊太郎、丹波明、奥山重之助、戸島美喜夫、塩見允枝子、佐藤聰明、椎啓、藤枝守、萊孝之、志村哲の10名。それぞれ、「電子音楽」というテーマ以外にもふくらむ内容で、現代音楽全般に関心のある向きにも、また正編『日本の電子音楽』を読んでいない人にもおすすめできる本です。
2013年07月04日