『モーストリー・クラシック』に『バッハ・古楽・チェロ』の書評掲載

『モーストリー・クラシック』12月号にA.ビルスマ+渡邊順生+加藤拓未『バッハ・古楽・チェロ』の書評が掲載されました。評者は『古楽再入門』『古楽は私たちに何を聴かせるのか』などの著者としても知られる音楽ジャーナリストの寺西肇さん。

……様々な影響を与えられた巨匠たち。古楽界の盟友ブリュッヘンやレオンハルトとの交流。メンテナンスを含めた、チェロとの付き合い方。そして、“旧約聖書”である無伴奏組曲の、一次資料で不明瞭なスラーの判断やバス旋律の扱い、とりわけ実際に弾かれない声部を“暗示”する方法について。全ての言葉に、示唆と含蓄、愛とユーモアが宿る。

……ビルスマは多くの自著でも考えを発表してきたが、読み進める読者の意向にも寄り沿う、渡邊の絶妙な問い掛けが、平易な表現による巨匠の答えを引き出す本書は、より明快に示された印象。さらに、インタビューの現場にも立ち会った、音楽学者の加藤拓未による邦訳は、巨匠の細やかなニュアンスを逃さず捉えていて、非常に読み易い。そして、付録に添えられた、ビルスマと渡邊が共演したライヴのCD(1999年収録)は、読後に聴けば、いっそう深い余韻を生む。

このように、ご自身バロック・ヴァイオリンを能くする寺西さんならではの深い読み込みがうれしい書評でした。ありがとうございました![G]