日経新聞に『箏を友として』の書評掲載

今朝(1/17)付けの日本経済新聞に千葉優子著『箏を友として』の書評が掲載されました。評者は京都市立芸術大学名誉教授の久保田敏子さん。日経のサイトにもアップされています(全文読むには会員登録が必要です)。

 本書には、年譜はもちろん、注記も、人名と作品の索引もある。随所に宮城自身の記述を引用しながら、精緻な検証と考察を重ね、人柄のみならず、折々の心情まで描き出して、宮城の内面に迫っている。注目すべきは、副題の「評伝 宮城道雄〈人・音楽・時代〉」にも掲げた通り、現代邦楽の父ともいえる宮城の音楽そのものと、彼の生きた時代とともに変遷する音楽観にも言及している点である。
 大正から昭和初期にかけての和洋の音楽事情をわかりやすく述べ、邦楽修行と並行して愛好していた洋楽レコードから得た宮城の知識の幅広さに触れ、そうした西洋音楽に触発された要素を、宮城が如何(いか)に自身の作品に生かしたかを見事に明らかにする。

[略]読者を惹きつける優しさと親しみに溢(あふ)れた文章には無駄がなく、とても読みやすい。それは、宮城道雄を知り尽くし、愛して已(や)まない著者ならばこそ為し得たものであろう。
 初めて宮城道雄に接する読者でも、これ一冊で宮城について理解を得られるし、もう少し詳しく知りたい人や、宮城作品を演奏する人たちにも、その時代背景や曲の成り立ちがよく理解できるお薦めの逸書である。

いささか引用が長くなりましたが、全文ご紹介したいほど素晴らしい書評で、たいへんうれしく読みました。[木村]