『婦人之友』で松村由利子さんが『ハーバード大学は「音楽」で人を育てる』を書評

『婦人之友』2月号にて、歌人の松村由利子さんが菅野恵理子著『ハーバード大学は「音楽」で人を育てる』を書評してくださいました。「教育の本質とは」と題して、タミ・シェム=トヴ著『ぼくたちに翼があったころ』(福音館書店)、若桑みどり著『お姫様とジェンダー』(ちくま新書)といっしょに取り上げていただいています。

 かつてハーバード大ではストラヴィンスキーが、コロンビア大ではバルトークが教鞭をとったと聞けば、米国の音楽教育の実績の長さ、素晴らしさが分かるだろう。
 翻って日本の大学は、実学中心へと方向転換しつつあり、「文学部不要論」まで出る始末だ。けれども、ビジネスや外交の場において信頼や共感を得るにも、教養に裏打ちされた人間的魅力は不可欠だと思う。

このように本書の勘所を的確にとらえて評してくださっています。また、『お姫様とジェンダー』を取り上げた最後にも、

「リベラル・アーツ」は「人を自由にする学問」を意味する。新しい社会やシステムを構築するには、時代を超えた自由な感性と教養が必要とされるはずだ。そのための教育を望みたい。

と、『ハーバード大学は「音楽」で人を育てる』にも通じる教育観を披瀝されていて、たいへん心強く感じました。
ちなみに同誌同号には「いのち交わる道へ」と題して、石牟礼道子さんと藤原辰史さんの対談も掲載されていました。二人のやりとりも深く心に沁みるものですが、それぞれの著書からの引用で構成されるページもあって、二人の人間像が立体的に理解できるつくりになっています。「ことば」の力を再認識するとともに、編集のたいせつさにも思いをいたしました。

[木村]