〈片山杜秀の本〉 4

続・クラシック迷宮図書館
音楽書月評2004-2010

定価:本体1800円[税別]送料:国内無料

  • 四六判・並製 | 296頁
  • 発売日 : 2010年3月20日
  • ISBN 978-4-903951-29-4 C1073
  • ジャンル : クラシック/ブックガイド
  • ブックデザイン:下川雅敏

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面白すぎて小説が書けない!──高橋源一郎(作家)
カタヤマ式音楽書ガイドますます絶好調!

本を読めば音楽がわかるのか!?──
ますます絶好調のカタヤマ式音楽書月評、厳選68冊分、お届けします。

銭形平次の寛永通宝はSPレコード?
上野に西郷隆盛像と東京芸大がある理由とは?
十二音音楽は統合失調症の特効薬だった?
『うる星やつら』とモーツァルトの関係??──
冴えに冴えまくる着想で、「クラシックの読み方」が変わる!

『レコード芸術』誌に10年間にわたり連載された「片山杜秀のこの本を読め!」のうち、2004年から2007年までの4年間に書かれた計48本の書評に加えて、読売新聞、中央公論、週刊文春などで2010年3月までに発表された書評や、吉田秀和の著書に寄せた解説などを集成。

プロフィール

  • 片山杜秀(かたやま・もりひで)
    1963年宮城県生まれ。思想史家、音楽評論家。慶應義塾大学法学部教授。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。専攻は近代政治思想史、政治文化論。
    2008年『音盤考現学』『音盤博物誌』(アルテスパブリッシング)により吉田秀和賞とサントリー学芸賞を受賞、2012年『未完のファシズム』(新潮選書)により司馬遼太郎賞を受賞。その他の著書に『クラシック迷宮図書館(正・続)』『線量計と機関銃』『現代政治と現代音楽』『大東亜共栄圏とTPP』(以上アルテスパブリッシング)、『鬼子の歌』『近代日本の右翼思想』(以上講談社)、『未完のファシズム』(新潮社、司馬遼太郎賞)ほか多数。
    NHK‒FM『クラシックの迷宮』のパーソナリティとしても活躍。

CONTENTS

目次(カッコ内はとりあげた書籍)

(ミュンシュ+アンセルメ)÷2=ブーレーズ(ブーレーズ[著]ジリー[聞き手]『ブーレーズは語る』)
銭形平次はなぜ銭を投げるのか?(太田愛人『野村胡堂・あらえびすとその時代』)
『リボンの騎士』の作曲家はなぜ《惑星》の編曲家になったのか?(冨田勲『音の雲』)
いいかげんなイタリアから出直せ!(石井宏『反音楽史』)
アドルノの快刀乱麻とダールハウスの退屈(ダールハウス『音楽史の基礎概念』)
上野に西郷さんの銅像と東京芸大がいっしょにあるわけ(横田庄一郎『西郷隆盛惜別譜』)
さっぱりだけが人生だ(傅雷[著]傅敏[編]『君よ弦外の音を聴け』)
統合失調症患者としてのヴェーベルン(阪上正巳『精神の病いと音楽』)
謎めいていてこそ音楽!(近藤譲『〈音楽〉という謎』)
匿名音楽のススメ(高橋悠治『高橋悠治コレクション1970年代』)
故郷がいくつあってもええじゃないか!(バレンボイム+サイード[著]グゼリミアン[編]『バレンボイム/サイード 音楽と社会』)
丹波哲郎こそが日本である(丹波明『「序破急」という美学』)
太鼓叩けば亀ひるむ?(杉浦康平『宇宙を叩く』)
眼鏡とオルガンと無神論(レヴェンソン『錬金術とストラディヴァリ』)
乙女はなぜ尺八を吹かないのか?(ホフマン『楽器と身体』)
寒い国でひとりぽつねんとCDを聴いたよ(宮澤淳一『グレン・グールド論』)
強い指も弱い指もなかよくいっしょに生きるのだ(シャンドール『シャンドール ピアノ教本』)
〝バラ色の未来〟よりも満ちたりた現在を!(椎名亮輔『音楽的時間の変容』)
「高尚」と「卑俗」という二分法の成立史(レヴィーン『ハイブラウ/ロウブラウ』)
悪童はいかにして分別を身につけたか(ブーレーズ+シェフネール『ブーレーズ─シェフネール書簡集1954-1970』)
これぞ掟破りの書物です(青柳いづみこ『ピアニストが見たピアニスト』)
プロテスタンティズムの倫理と日本近代化の精神(新保祐司『信時潔』)
さよなら、野村光一(久保田慶一『孤高のピアニスト梶原完』/山本尚志『レオ・シロタ』)
パパゲーノやレポレッロとは何者か?(パラディ『モーツァルト魔法のオペラ』)
武満徹は近代的か? 石田一志(『モダニズム変奏曲』)
『モオツァルト』と「近代の超克」(井上太郎『モーツァルトと日本人』)
モーツァルトは猫のように鳴きながらとんぼ返りした(フラハティ『シャーマニズムと想像力』)
「美しい!」は是認の身振り(矢向正人『音楽と美の言語ゲーム』)
絶対平和音楽論序説(北沢方邦『北沢方邦音楽入門』)
我音楽する、ゆえに我なし?(ベンゾン『音楽する脳』)
東洋の神秘は分析不可能だと英国人は言った(バート『武満徹の音楽』)
田舎の秀才と都会の不良(ブーレーズ[著]サミュエル[聞き手]『エクラ/ブーレーズ響き合う言葉と音楽』/コー『リュック・フェラーリとほとんど何もない』)
諸星あたるとモーツァルト(キルケゴール『ドン・ジョヴァンニ/音楽的エロスについて』)
呼吸法が日本を救う!(中村明一『「密息」で身体が変わる』)
作曲家と聴衆がサシで勝負する方法(近藤譲『音を投げる』)
虐殺された音楽人類(ミズン『歌うネアンデルタール人』)
作曲家・金井喜久子の三重苦(金井喜久子『ニライの歌』)
一九世紀フランス音楽はロマン派ではない(ジャンケレヴィッチ『フォーレ言葉では言い表し得ないもの…』)
儒教二千五百年の見はてぬ夢(横田庄一郎[編著]印藤和寛[訳・解題]『富永仲基の「楽律考」』)
エカーグラ──チェリビダッケの理想(チェリビダッケ『チェリビダッケ 音楽の現象学』)
導音の響きは乱婚へのいざない(フーリエ『愛の新世界』)
日本軍政下ジャワのリリー・クラウス(多胡吉郎『リリー、モーツァルトを弾いて下さい』)
音楽は大嘘つき(ストイキツァ『ピュグマリオン効果』)
シェーンベルク、またはR・シュトラウスの非常識な子供(グールド[著]ゲルタン[編]『グールドのシェーンベルク』)
呼吸感と俊敏様式(山崎浩太郎『クラシックヒストリカル108』)
「楽聖」はアダルト・チルドレン(福島章『ベートーヴェンの精神分析』)
時代の寵児、時代を呪う(ベルリオーズ『音楽のグロテスク』)
ドイツ的演奏徹底糾弾宣言!(シェルヒェン『指揮者の奥義』)
日本語は声帯殺し?(米山文明『美しい声で日本語を話す』)
縛られたオデュッセウス(ペイザント『グレン・グールド、音楽、精神』)
ニュー・ディーラーはクラシック音楽がお嫌い?(コーエン[編]『アラン・ローマックス選集』)
寄り道すれば世界が見える(小沼純一『魅せられた身体』)
老いたればこそ老いしらず(吉田秀和『永遠の故郷──夜』)
無思想の帝国(戸ノ下達也『音楽を動員せよ』)
カラヤン主義者の表層批評(中川右介『巨匠たちのラストコンサート』)
なにしろ東京人やから(岩野裕一『朝比奈隆すべては「交響楽」のために』)
市民の矜持としての音楽批評(吉田秀和『名曲三〇〇選』)
漂白の民だけが世界音楽を作れるのだ(伊東信宏『中東欧音楽の回路』)
ほんとうは几帳面でない齋藤秀雄(紙谷一衞『人を魅了する演奏』)
音楽の魔法への期待と幻滅(イシグロ『夜想曲集』)
「非在のユートピア」としての森繁節(久世光彦『マイ・ラスト・ソング』)
音楽をまねる言葉(吉田秀和『オペラ・ノート』)
奪われた青春への哀惜(畑中良輔『繰り返せない旅だから 一−四』)
ドイツもユダヤもほんとうはないんだよ(吉田寛『ヴァーグナーの「ドイツ」』)
地震に音楽を聴いた少年(末延芳晴『寺田寅彦バイオリンを弾く物理学者』)
クロキョーと光源氏(黒田恭一『オペラ版雨夜の品定め』)
あとがき
人名索引

『レコード芸術』誌に10年間にわたり連載された「片山杜秀のこの本を読め!」のうち、2004年から2007年までの4年間に書かれた計48本の書評に加えて、読売新聞、中央公論、週刊文春などで2010年3月までに発表された書評や、吉田秀和の著書に寄せた解説などを集成。